急性白血病治療後の生活の質に関する横断的研究
2014-02-04


2011年8月〜2012年7月までの間に、興味深いアンケートが回って来た。参加しようとしてメールで問い合わせたが、患者本人ではないとダメだということで諦めたことがあった。

国立がん研究センター中央病院の造血幹細胞移植科が行った「急性白血病治療後の生活の質に関する横断的研究」である。
[URL]

その後息子の再発でそれどころではなく失念していたが、最近アンケートの集計結果がまとめられ、参加者の元に送付されてきたそうだ。

もともと関心があったので、参加された方にお借りして息子共々読ませて頂いた。

素直な感想としてまず黒澤、福田両先生に拍手を送りたい。こんな研究を待っていました!と。

白血病患者にとって退院後の生活ほど不安なものはない。化学療法後や移植後自宅で療養中の患者・家族はみな他の人はどうなんだろう?と思っているはずだ。

自分と同じように思っている人、また別の感じ方をしている人様々だけれど、罹った病気の種類や治療の違いを超えて情報を共有することには意味がある思う。

だからこそ患者は自分と同じ境遇の患者のブログなどを探し出し読み漁るのだ。時には陰ながら応援している人のブログが更新されずに終わってしまっているやり切れなさを味わうこともあるけれど。

集計結果の内容はプライバシーの問題もあり詳細は載せないが、「復職と雇用」の項目について少し感じたことを書いてみる。

復職の意志があるにも関わらず、復職の場がない、病気を理由に断られる。復職できても、体力低下でフルタイムでは働けない、そこまでして働きたいのかと言われる、周りの無理解で疎外感を感じるなどなかなかスムーズにはいかないようだ。

うまく復職できた人は産業医のいるような規模の企業か、最初は時短勤務からとか、通院などがしやすい体制が整っているなど恵まれた一部の企業に限られている。また復職しても長期欠勤のため降格されたり、昇進が出来なかったりの差別もある。

最初は働く意志があっても次々起こる合併症やGVHDなどの為に、諦めてしまう人もいる。主治医の許可が出ないと言う人もいた。

復職した人の中には経済的理由だけでなく、仕事は生きている証し、生きがいなどと書いている人もいるが、反面仕事がハードで再発の不安を感じている人もいる。

そして「復職とQOL」についての調査では、復職した人と未復職の人の間で精神的QOLは変わらないが、身体的、役割/社会的、総合的QOLにおいては復職した人の方が高いという結果だった。

どれもが今の私たちの不安な気持ちを映し出している。でも時期が来たら何とかなるさ〜の気持ちで当たって砕けるしかないのだろう。

この結果の中で一番印象に残ったのは治療後のQOLは時間の経過とともに改善しているという点と、治療後11年以上の患者さんの中には白血病になる前より健康になった(?!)という人がいたこと。これには希望が湧く。

今後はこの有意義な研究結果をぜひ一般の患者や医療者へ向けて広く発信してもらいたい。医療者にとって耳の痛い意見もあったけれど、フィードバックされることで必ず移植治療の成績向上に貢献できると思う。

そして社会復帰の障壁になっている一般社会の無理解を少しずつ溶かしていってもらいたい。かくいう私自身も血液疾患や移植のことを患者以外の一般の方にも知ってもらいたくて細々とブログを続けている。
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